2.平成18年~平成20年

2つの基本契約がある事例でのみ使える判例

最高裁平成20年01月18日第二小法廷判決・民集 第62巻1号28頁

平成18(受)2268
不当利得返還等請求事件

ほとんど使いどころのない判例ですが、貸金業者側が援用してくるので、正確に理解しておく必要はあります。

過払金が新たに発生する借入金債務に充当される特段の事情

最高裁平成19年02月13日第三小法廷 判決・民集第61巻1号182頁

 

 

 不当利得返還等請求本訴,貸金返還請求反訴事件

直接には充当計算を否定するなど借主に不利な内容の判例ですが、今となっては利用価値が無きにしも非ずです。

「悪意の受益者」の争点について、事実上立証責任の転換を認めた判決

最高裁平成19年07月13日第二小法廷判決 ・集民第225号103頁

利息制限法の例外である旧貸金業法43条1項の規定の趣旨、及び貸金業者のプロフェッショナル性を理由に、「貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定される」と指摘した。

期限の利益喪失条項と旧貸金業法43条1項の「任意性」

最高裁平成18年01月19日 第一小法廷判決・集民第219号31頁

 

最高裁平成18年01月13日第二小法廷判決・民集第60巻1号1頁に続いて,
制限利率を超過した約定利率貸付けにおいて、債務者が約定通りの元利金の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約期限の利益喪失条項がある場合に、債務者が約定通りに元利金を支払わないと期限の利益を喪失するとの誤解が生じなかったといえるような特段の事情がない限り、制限超過部分の支払は、旧貸金業法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできないと判示した。

いわゆる過払金充当合意を認めた例

最高裁平成19年07月19日第一小法廷 判決・民集第61巻5号2175頁

1度の貸付けを除き、従前の貸付けの切替え及び貸増しであった事例で、このような1個の連続した貸付取引においては、当事者は、1つの貸付けを行う際に、切替え及び貸増しのための次の貸付けを行うことを想定しているのであり、複数の権利関係が発生する事態を生ずることを望まないのが通常であることを指摘し、いわゆる過払金充当合意を認定した。

いわゆる過払金充当合意を認めた例

最高裁平成19年06月07日 第一小法廷判決・民集 第61巻4号1537頁

カードの利用により継続的に金銭の貸付とその返済が繰り返され、返済については残高スライドリボルピング方式によることを予定した基本契約が締結された事案についてのものであるが、基本契約に基づく債務の弁済が借入金の全体に対して行われることを根拠としているのであるから、基本契約に基づき、継続的に貸付と返済が繰り返される金銭消費貸借で債務の返済が借入金の全体に対じて行われると解される取引一般について、過払金充当合意の成立が認められることになると思われる。

専属的管轄の合意をめぐる地方裁判所における自庁処理の相当性の判断基準

最高裁平成20年(許)第21号 平成20年07月18日第二小法廷決定・ 民集第62巻7号2013頁

 

移送申立て却下決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件
破棄自判
原審:大阪高等裁判所
平成20(ラ)346・ 平成20年04月10日

旧貸金業法施行規則15条2項問題、期限の利益喪失条項と任意性問題に最初に判断した判例

最高裁平成18年01月13日第二小法廷判決・民集第60巻1号1頁

平成16(受)1518 号
貸金請求事件

制限利率を超過した約定利率貸付けにおいて、債務者が約定通りに元利金を支払わないと期限の利益を喪失するとの誤解が生じなかったといえるような特段の事情がない限り、制限超過部分の支払は、旧貸金業法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできないと指摘した。
同旨の判例として、最高裁平成18年01月19日 第一小法廷判決・集民第219号31頁、 最高裁平成18年01月24日第三小法廷判決・集民第219号243頁がある。

貸金業の規制等に関する法律施行規則15条2項の規定のうち,貸金業者が弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,貸金業の規制等に関する法律18条1項1号から3号までに掲げる事項の記載に代えることができる旨定めた部分は,同法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効であると指摘した。

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