2.過払い請求
過払い請求
1.受任通知、取引履歴の開示請求
司法書士等法律専門家が債務整理について受任した場合、今後どのような手続を選択するにせよ、まず総債務額を確定する必要がありますから、債権者に対し受任通知と取引履歴の開示請求を行います。
貸金業者に対する債務整理についての受任通知には、直接取立てを禁止する効力があります。
参照条文 貸金業法21条1項
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たって、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
(中略)
⑨ 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
取引履歴の開示を受け、利息制限法に違反した高利の貸金取引については、引き直し計算を行い、実際の債務額または払い過ぎていた場合は過払い金額を確定します。
利息制限法では例えば元本が50万円の取引の場合、法律上許される最高利率が年18%と定められています。ところが、約定利率が年28%であったとすると、年10%分は払い過ぎていたことになります。仮に支払期日が年1回で約定利息分14万円を支払っていたとすると、約定では残元本は50万円のままで翌年も利息として14万円を支払わなければなりません。しかし、実際は利息として9万円を支払えばよかったのですから、5万円は払い過ぎになります。そこで、これを元本の支払いに充当して残元本は45万円に減少し、翌年の利息も8万1000円に減少します。しかし、ここで約定利息14万円を支払うと、5万9000円の払い過ぎとなり、元本に充当して残元本が39万1000円に減少します。
以上のような理屈で、払いすぎた利息分などを元本に充当して計算することを引き直し計算といい、払いすぎた分が多いほど加速度的に残元本が減少し、実際の債務額が減少します。
さらに払いすぎた分が多いとついには残元本は0円となり、それ以降に約定どおり返済した分は過払い金として取り戻すことができるのです。これを過払い請求(過払い金請求、過払金返還請求とも)といいます。
⇒「過払い請求」の詳しい説明は、当事務所メイン・ホームページへ
約定利率28%で計算 | 利息制限法18%で計算 | |
1年後 | 50万円 | 45万円 |
2年後 | 50万円 | 39万1000円 |
3年後 | 50万円 | 32万1380円 |
4年後 | 50万円 | 23万9228円 |
5年後 | 50万円 | 14万2289円 |
6年後 | 50万円 | 2万7901円 |
7年後 | 50万円 | マイナス10万7076円(過払い) |
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