4.任意整理、特定調停、過払い請求

任意整理、特定調停

任意整理とは、各債権者に対し取引履歴の開示を含めて債権調査を行ったうえで、残った債務について返済案を各債権者に提案し、合意が成立した返済計画(和解契約)に基づいて今後の返済をするものです。

1.メリット

裁判所に申立てをしませんので、裁判費用がかかりません。

2.デメリット

ア)債権者との合意が必要ですから、和解が成立するかどうか不透明です。

なかなか合意が成立しない場合は、裁判所の強制力を利用した特定調停、個人再生、自己産といった裁判手続を検討する必要があります。

イ)信用情報機関に信用事故として(和解案に基づく支払完了から)最長5年間登録され、やはり信用取引が困難となります。

 

 

特定調停とは、いわば簡易裁判所を利用した任意整理であり、債権者・債務者双方の合意により調停案を成立させるものです。場合により裁判所から決定の形式で和解案の提示がなされることがあります(いわゆる17条決定)。

裁判所・調停委員が関与しますので、短期に調停が成立する傾向にあります。

また、費用が安いことも特色のひとつです。

債務返済の調停が成立した場合、調停には確定裁判と同一の執行力がありますから、支払いを怠ると強制執行を受ける可能性がある点には注意が必要です。

また、特定調停は、相手方(=債権者)の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所に申し立てる必要があります。もっとも、債権者が複数の場合、そのうちの1つの裁判所にまとめて提出することができます。

過払い請求

1.受任通知、取引履歴の開示請求

司法書士等法律専門家が債務整理について受任した場合、今後どのような手続を選択するにせよ、まず総債務額を確定する必要がありますから、債権者に対し受任通知と取引履歴の開示請求を行います。

 

貸金業者に対する債務整理についての受任通知には、直接取立てを禁止する効力があります。

参照条文 貸金業法21条1項

貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たって、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。

(中略)

⑨ 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

 

 

2利息制限法に基づく引き直し計算、過払い請求

取引履歴の開示を受け、利息制限法に違反した高利の貸金取引については、引き直し計算を行い、実際の債務額または払い過ぎていた場合は過払い金額を確定します。

利息制限法では例えば元本が50万円の取引の場合、法律上許される最高利率が年18%と定められています。ところが、約定利率が年28%であったとすると、年10%分は払い過ぎていたことになります。仮に支払期日が年1回で約定利息分14万円を支払っていたとすると、約定では残元本は50万円のままで翌年も利息として14万円を支払わなければなりません。しかし、実際は利息として9万円を支払えばよかったのですから、5万円は払い過ぎになります。そこで、これを元本の支払いに充当して残元本は45万円に減少し、翌年の利息も8万1000円に減少します。しかし、ここで約定利息14万円を支払うと、5万9000円の払い過ぎとなり、元本に充当して残元本が39万1000円に減少します。

以上のような理屈で、払いすぎた利息分などを元本に充当して計算することを引き直し計算といい、払いすぎた分が多いほど加速度的に残元本が減少し、実際の債務額が減少します

さらに払いすぎた分が多いとついには残元本は0円となり、それ以降に約定どおり返済した分は過払い金として取り戻すことができるのです。これを過払い請求(過払い金請求、過払金返還請求ともといいます。

 

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  約定利率28%で計算 利息制限法18%で計算
1年後 50万円 45万円
2年後 50万円 39万1000円
3年後 50万円 32万1380円
4年後 50万円 23万9228円
5年後 50万円 14万2289円
6年後 50万円 2万7901円
7年後 50万円 マイナス10万7076円(過払い)
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