新着情報

遺言の効用-思わぬ落とし穴

2013-12-14

聞いた話ですがこんなことがあります。

株式をX・60株、Xの長男A・40株所有して、XとAの2人で株式会社を経営していました。そして、Xが亡くなり、Xの妻はすでに他界して遺言はなかったので、Xの子3人A・B・Cが法定相続することになりました。そこで、Aはこう考えました。Aは、Xの遺産である60株の1/3にあたる20株を相続して、もともと所有していた40株と合わせて60株を所有したことになるから、これまで通り会社経営を行うことができる(発行済株式総数の過半数を所有することになるから)と・・・。

しかし、実はそうではないのです!
父の遺産である60株はA・B・Cに20株ずつ分割して相続されるのではなく、遺産分割協議が成立するまでは、60株のままA・B・Cの遺産共有の状態にあり、共有者A・B・Cで協議して持分の過半数の意見に従って管理することになるのです(民法252条)。そうするとB・Cが結託してAの意見に逆らえばAはB・Cに従わなければならないのです。

ちょっと理不尽な結論ですが、現行法上仕方のないところです。これを回避するには例えばXが遺言で60株のうち20株をAに相続させるとしておけばよかったのです。

 

また、こんな話もあります。
息子家族と同居している病弱な夫Xが妻Yの将来を心配して、自宅を含む財産の半分をYに相続させる旨の遺言を作ろうかと持ちかけます。しかし、Yは息子Aもその嫁B・孫Cも自分に大変良くしてくれているから、すべてAへ相続させる旨の遺言でいいよと答えます。Xは妻がそういうのであればとすべてAへ相続させる旨の遺言を作りました。

その後しばらくしてXが他界しましたが、世の中何が起こるかわかりません。
交通事故でAが亡くなってしまいました。
そうすると、AがXから相続した全財産は、すべてBとCが相続することになります。Y名義の財産は何一つありません。Bと折合いが悪くなったYは、その後自宅を出て、別居するようになったそうです。

 

以上、2つの例を挙げましたが、人間将来何が起こるか本当にわからないものです。
自分や身内の不幸を想定して遺言を作成することは哀しい面がありますが、適切な遺言を作成することにより避けることができる不幸もあるのです。
 

司法書士にじいろ法務事務所|債務整理(借金、多重債務、過払金、自己破産、個人再生など)

債務整理・過払い請求のご相談はこちらをクリックしてください⇒「HOME」へ

専門職への相談は解決への第一歩です。

司法書士 にじいろ法務事務所|福岡 債務整理|フリーコール0120-39-0001 電話受付時間 平日9:00~18:00