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なにがなんでも東電を救う?法的債務整理を回避することの是非

2016-11-19

2016/11/16の東京新聞によれば、経済産業省は16日、有識者による「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会を開き、福島第1原発事故の損害賠償費用を工面するために、原発による電気の利用者が事故に備えた保険料として積み立てるはず(?)だった「過去分」があると称し、最大50年さかのぼって国民から広く徴収する案を検討したそうです。

これに対し、脱原発の超党派の国会議員らから「まずは株主や銀行に負担させるべきだ!!」と批判の意見が噴出したとのこと。

思うに、原発はクリーンで最も安価なエネルギーであると散々広告をうっていたのは電力会社だったはずです。そして、不慮の事故が起きた現状で、そのあと始末を突如国民の税金で賄うべきだというのでは、どう考えてもむしが良すぎます(安価とは電力会社にとってなにがなんでも負担を減らしますの意味?)。

個人の債務整理と同じく、破産、再生、会社更生のみちを検討するのが、オーソドックスな資本主義法制での破たん処理の原則です。大口債権者である大手銀行のために、法的整理を回避して、国民の税金でなんとか問題解決しようというのは、法的に見ても、倫理的に見ても、擁護できそうにありません。平たく言えば、会社債権者(会社従業員を含む)を保護して、第一義的には第三者である国民全員(これから生まれてくる国民を含みます。)に責任を負わせておかしくないの?ってことです。

唯一電力会社を倒産させて大手銀行に大きな損失を与えては、日本経済が回復不能の損害を受けてしまうから、そんなことはできないという理屈は成り立ちえますが、そうなる根拠は実はどこにもないのです。なぜなら、日本は、第2次世界大戦で回復不能な損害を受けた(戦前の最大組織である軍隊(特に陸軍)が崩壊しました。)ものの立ち直りましたが、それに比べれば今回の事故はまだまだ軽いともいえそうですから。

「モラル・ハザード」という言葉があります。本当につぶしたら日本(経済)が壊れてしまう、会社、組織がほんとにあるのでしょうか?

理屈抜きにある一会社を救うというのでは、社会倫理的に許さず、取り返しのつかない不道徳の種を社会にまく結果になると私は思います。

 

司法書士にじいろ法務事務所|債務整理(借金、多重債務、過払金、自己破産、個人再生など)

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