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司法書士にじいろ法務事務所|債務整理(借金、多重債務、過払金、自己破産、個人再生など)-武雄市

2017-01-12

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武雄市における消費者問題、債務整理(借金、任意整理、過払い金請求、特定調停、破産、民事再生など)の相談窓口
武雄市消費生活センター
武雄市北方町大字志久1557
電話番号 0954-36-6022
相談時間 9時~12時、13時~16時30分(月曜日から金曜日、祝日・年末年始を除く)

武雄市、杵島郡のうち大町町の管轄裁判所
武雄簡易裁判所、佐賀地方裁判所武雄支部、佐賀家庭裁判所武雄支部
〒843-0022
佐賀県武雄市武雄町大字武雄5660
電話番号(代)0954-22-2159

司法書士にじいろ法務事務所|債務整理(借金、多重債務、過払金、自己破産、個人再生など)-佐賀県

2017-01-10

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佐賀県における消費者問題、債務整理(借金、任意整理、過払い金請求、特定調停、破産、民事再生など)の相談窓口
佐賀県消費生活センター
電話番号 0952-24-0999
相談時間 9時~17時
土日祝も可(月曜日は電話相談のみ)来所相談は予約制

法テラス佐賀
電話番号 050-3383-5510
受付時間 9時~12時、13時~16時(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

佐賀財務事務所 多重債務相談窓口
佐賀市駅前中央三丁目3番20号(佐賀第2合同庁舎7階)
電話番号 0952-32-7161(内線2725)
受付時間 9時~12時、13時~17時(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

佐賀県司法書士会
佐賀市中の小路7番3号
電話番号 0952-29-0635
電話相談(相談無料・予約不要)18時~20時(毎週月曜・木曜、祝日・年末年始を除く)
面談無料相談(要予約)まず、事務局へご連絡ください。近くの司法書士をご紹介します。その司法書士との間で、面談場所、日時を決めていただくことになります。
事務局に対するお問合せ 8時30分~16時(土日祝祭日、年末年始を除く)

佐賀県弁護士会
電話番号 0952-24-3411
受付時間 面談相談(相談無料・要予約)祝日・年末年始を除く毎日、土日相談応。
電話相談(相談無料)毎週土曜日13時~15時30分(祝日・年末年始を除く)
毎週火曜日 17時30分~19時30分(祝日・年末年始を除く)

司法書士にじいろ法務事務所|債務整理(借金、多重債務、過払金、自己破産、個人再生など)-北九州市

2017-01-08

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北九州市における消費者問題、債務整理(借金、任意整理、過払い金請求、特定調停、破産、民事再生など)の相談窓口
北九州市立消費生活センター
北九州市戸畑区汐井町1-6 ウェルとばた7階
電話番号 093-861-0999
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~土曜、第3土曜は13時まで、祝日・年末年始を除く)

北九州市立消費生活センター門司相談窓口
北九州市門司区清滝1-1-1 門司区役所東棟1階
電話番号 093-331-8383
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

北九州市立消費生活センター若松相談窓口
北九州市若松区浜町1-1-1 若松区役所2階
電話番号 093-761-5511
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

北九州市立消費生活センター小倉北相談窓口
北九州市小倉北区大手町1-1 小倉北区役所5階
電話番号 093-582-4500
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

北九州市立消費生活センター小倉南相談窓口
北九州市小倉南区若園5-1-2 小倉南区役所3階
電話番号 093-951-3610
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

北九州市立消費生活センター八幡東相談窓口
北九州市八幡東区中央1-1-1 八幡東区役所別館2階
電話番号 093-671-3370
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

北九州市立消費生活センター八幡西相談窓口
北九州市八幡西区筒井町15-1 八幡西区役所1階
電話番号 093-641-9782
相談時間 8時30分~16時45分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

法テラス北九州
北九州市小倉北区魚町1-4-21 魚町センタービル5F
電話番号 050-3383-5506
相談時間 9時~17時(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)

北九州市立精神保健福祉センター
電話相談 093-522-8729
相談時間 8時30分~17時15分(月曜~金曜、祝日・年末年始を除く)
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北九州いのちの電話
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北九州市のうち、小倉北区、小倉南区、若松区、戸畑区、門司区、八幡東区、八幡西区(八幡西区役所折尾出張所、八幡南出張所の各所管区域を除く)の管轄裁判所
小倉簡易裁判所、福岡地方裁判所小倉支部
〒803-8531
福岡県北九州市小倉北区金田1-4-1
電話番号(代)093-561-3431
福岡家庭裁判所小倉支部
〒803-8532
福岡県北九州市小倉北区金田1-4-1
電話番号(代)093-561-3431

北九州市のうち、八幡西区(八幡西区役所折尾出張所、八幡南出張所の各所管区域。)
中間市、遠賀郡の管轄裁判所
折尾簡易裁判所
〒807-0825
福岡県北九州市八幡西区折尾4-29-6
電話番号(代)093-691-0229
福岡地方裁判所小倉支部
〒803-8531
福岡県北九州市小倉北区金田1-4-1
電話番号(代)093-561-3431
福岡家庭裁判所小倉支部
〒803-8532
福岡県北九州市小倉北区金田1-4-1
電話番号(代)093-561-3431

最高裁平成24年(許)第15号平成25年4月26日第二小法廷決定(対武富士管財人)

2017-01-06

主 文
原決定を破棄し,原々決定を取り消す。
本件担保取消しの申立てを却下する。
手続の総費用は相手方の負担とする。

理 由
抗告代理人赤渕由紀彦,同秋山真悟の抗告理由について
1 本件は,更生会社である株式会社A(平成24年3月1日に商号をB株式会社に変更した。以下,この商号変更の前後を通じて「A」という。)の管財人である相手方が,Aが仮執行宣言付判決に対する控訴の提起に伴って立てた担保の取消しの申立てをした事案である。相手方は,Aの更生手続において,上記担保の被担保債権である損害賠償請求権につき更生債権又は更生担保権としての届出がされなかったため,更生計画認可の決定により,Aは同請求権につきその責任を免れるから,担保の事由が消滅したと主張している(以下,更生会社が更生債権又は更生担保権につきその責任を免れることを「失権」という。)。

2 記録によれば,本件の経緯等は次のとおりである。
(1) 抗告人は,平成21年9月30日,札幌地方裁判所小樽支部に対し,Aを被告として,不当利得返還請求訴訟(以下「本案訴訟」という。)を提起した。同支部は,平成22年2月19日,本案訴訟につき,抗告人の請求を全部認容する仮執行宣言付判決(以下「本案1審判決」という。)を言い渡した。
(2) Aは,平成22年3月8日,本案1審判決に対し控訴を提起するとともに,強制執行の停止の申立てをした。札幌地方裁判所小樽支部は,同年4月5日,Aに700万円の担保(以下「本件担保」という。)を立てさせて,本案訴訟の控訴審判決があるまで本案1審判決に基づく強制執行を停止する旨の決定をした。
(3) 東京地方裁判所は,平成22年10月31日,Aにつき更生手続開始の決定をし,相手方を管財人に選任した。
(4) 抗告人は,平成23年1月27日頃,Aの更生手続において,本案訴訟において請求していた不当利得返還請求権等959万0029円につき,更生債権として届出をし,同請求権に関しては会社更生法150条1項の規定により確定した。ところが,抗告人は,本件担保の被担保債権である損害賠償請求権(以下「本件賠償請求権」という。)については,更生債権としても,更生担保権としても,届出をしなかった。
(5) 東京地方裁判所は,平成23年10月31日,Aにつき更生計画認可の決定(以下「本件認可決定」という。)をした。これにより本件賠償請求権は失権した。

3 原審は,①会社更生法2条10項の文言上,本件賠償請求権が更生担保権に当たることは当然であるとした上で,②本件認可決定により本件賠償請求権が失権した以上は,担保の事由が消滅したというべきであるとして,本件担保取消しの申立てを認容すべきものと判断した。

4 しかしながら,原審の上記判断は,是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた場合,債権者である被供託者は他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有するものとされている(民訴法405条2項,77条)。これは,被供託者が供託金につき還付請求権を有すること,すなわち,被供託者が,供託所に対し供託金の還付請求権を行使して,独占的,排他的に供託金の払渡しを受け,被担保債権につき優先的に弁済を受ける権利を有することを意味するものと解するのが相当であって,これをもって被供託者に特別の先取特権その他の会社更生法2条10項所定の担保権を付与したものと解することはできない。したがって,仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に,債務者につき更生手続開始の決定がされた場合,その被担保債権である損害賠償請求権は,更生担保権ではなく,更生債権に当たるというべきである。
(2) そして,民訴法が,仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって,債務者に担保として金銭を供託させることができるものとした上,当該担保につき債権者である被供託者に上記の優先的な権利を与えているのは,供託金を債務者の責任財産から切り離し,債務者の資力等に影響されることなく,被供託者が強制執行の停止によって被る損害の塡補を確実に得られるようにしたものであると解される。そうすると,被供託者の有する供託金の還付請求権が債務者の更生手続によって制約されると解することは,上記の趣旨に反し,被供託者の利益を損なうものであって,相当ではない。
したがって,仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合,被供託者は,債務者につき更生計画認可の決定がされても,会社更生法203条2項にいう「更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利」として,供託金の還付請求権を行使することができると解するのが相当である。 このように解さなければ,仮に被供託者が被担保債権につき更生債権として届出をした場合であっても,上記被担保債権が更生計画認可の決定によって更生計画の定めに従い変更されるのに伴い,供託金の還付請求権もその影響を受けるものと解さざるを得ないが,この解釈は被供託者の利益を著しく損なうものであって,採り得ないというべきである。
(3) そして,債務者につき更生手続が開始された場合,被供託者は,更生手続外で債務者に対し被担保債権を行使することができなくなるが,管財人を被告として,被供託者が供託金の還付請求権を有することの確認を求める訴えを提起し,これを認容する確定判決の謄本を供託規則24条1項1号所定の書面として供託物払渡請求書に添付することによって,供託金の還付を受けることができると解される。このことは,被供託者が上記更生手続において被担保債権につき届出をせず,被担保債権が失権した場合であっても異なるものではない。
(4) したがって,本件認可決定により本件賠償請求権が失権したとしても,そのことから直ちに本件担保につき担保の事由が消滅したということはできない。

5 以上説示したところによれば,原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,本件担保につき担保の事由が消滅したと認めるべき事情はうかがわれないから,相手方の本件担保取消しの申立てを認容した原々決定を取り消し,同申立てを却下することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小貫芳信 裁判官 竹内行夫 裁判官 千葉勝美 裁判官 鬼丸かおる)

 

 

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司法書士にじいろ法務事務所|債務整理(借金、多重債務、過払金、自己破産、個人再生など)-伊万里市

2017-01-04

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伊万里市における消費者問題、債務整理(借金、任意整理、過払い金請求、特定調停、破産、民事再生など)の相談窓口
伊万里市消費者生活センター
伊万里市立花町1355-1
電話番号 0955-23-2136
相談時間 10時~12時、13時~16時(月曜日から金曜日、祝日・年末年始を除く)

伊万里市、西松浦郡(有田町)の管轄裁判所
伊万里簡易裁判所
〒848-0027
佐賀県伊万里市立花町4107
電話番号(代)0955-23-3340
佐賀地方裁判所武雄支部、佐賀家庭裁判所武雄支部
〒843-0022
佐賀県武雄市武雄町大字武雄5660
電話番号(代)0954-22-2159

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2017-01-02

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鹿島市における消費者問題、債務整理(借金、任意整理、過払い金請求、特定調停、破産、民事再生など)の相談窓口
鳥栖市消費者生活センター
鳥栖市宿町1118 鳥栖市市民協働推進課内
電話番号 0942-85-3800
相談時間 9時~16時(月曜日から金曜日、祝日・年末年始を除く)

嬉野市における相談窓口
嬉野市観光商工課
電話番号 0954-42-3310
相談時間 9時30分~16時30分(毎週火曜・木曜)
相談場所 火曜・嬉野市中央公民館(旧塩田町公民館)2階 第4研修室
木曜・嬉野庁舎 1階 相談室

白石町における相談窓口
白石町役場商工観光課
電話番号 0952-84-7121
相談時間 10時~16時(毎週木曜日、日・年末年始を除く)

鹿島市、嬉野市、藤津郡(太良町)、杵島郡のうち江北町、白石町の管轄裁判所
鹿島簡易裁判所、佐賀家庭裁判所鹿島出張所
〒849-1311
佐賀県鹿島市大字高津原3575
電話番号(代)0954-62-2870
佐賀地方裁判所武雄支部
〒843-0022
佐賀県武雄市武雄町大字武雄5660
電話番号(代)0954-22-2159

最高裁平成21年3月3日第三小法廷 判決・ 集民第230号167頁(対プロミス)

2016-12-30

主文
1 原判決を次のとおり変更する。
(1) 第1審判決を取り消す。
(2) 被上告人は,上告人に対し,635万8798円及びうち633万2772円に対する平成18年10月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

理由

上告代理人瀧康暢ほかの上告受理申立て理由第2章及び第3章について

1 本件は,上告人が,被上告人に対し,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると,過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,その支払を求める事案である。被上告人は,上記不当利得返還請求権の一部については,過払金の発生時から10年が経過し,消滅時効が完成したと主張してこれを争っている。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号により法律の題名が貸金業法と改められた。)3条所定の登録を受けた貸金業者である。
(2) 上告人は,遅くとも昭和54年1月18日までに,被上告人との間で,継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。
上告人と被上告人は,同日から平成18年10月3日までの間,本件基本契約に基づき,第1審判決別紙1「原告主張書面」添付の計算書の「借入額」欄及び「返済額」欄記載のとおり,継続的な金銭消費貸借取引を行った(以下「本件取引」という。)。
(3) 本件取引における弁済は,各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されているものではなく,本件基本契約に基づく借入金の全体に対して行われるものであり,本件基本契約は,過払金が発生した場合にはこれをその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。
過払金充当合意に基づき,本件取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当した結果は,原判決別紙「利息制限法に基づく法定金利計算書」記載のとおりであり,最終取引日である平成18年10月3日における過払金は633万2772円,同日までに発生した民法704条所定の利息は2万6026円である。(4) 上告人は,平成19年1月11日に本件訴えを提起した。被上告人は,平成9年1月10日以前の弁済によって発生した過払金に係る不当利得返還請求権については,過払金の発生時から10年が経過し,消滅時効が完成していると主張して,これを援用した。

3 原審は,前記事実関係の下において,要旨次のとおり判断して,上告人の請求を375万9260円及びうち374万4000円に対する平成18年10月4日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で認容すべきものとした。
過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)は,個々の弁済により過払金が生じる都度発生し,かつ,発生と同時に行使することができるから,その消滅時効は,個々の弁済の時点から進行するというべきである。
上告人は,過払金返還請求権は,取引が終了した時点(本件においては平成18年10月3日)に確定し,その権利行使が可能になるから,上記時点を消滅時効の起算点と解すべきであると主張するが,借主は取引が終了するまで既発生の過払金の返還を請求できないわけではないから,上記主張は失当である。
したがって,平成9年1月10日以前の弁済により発生した過払金返還請求権については,発生から10年の経過により消滅時効が完成した。同日以降の弁済により発生した過払金は,原判決別紙「利息制限法に基づく法定金利計算書」記載のとおり374万4000円であり,これに対する平成18年10月3日までに発生した民法704条所定の利息は1万5260円である。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
前記のような過払金充当合意においては,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金は同債務に充当されることになるのであって,借主が過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,過払金返還請求権の行使を妨げるものと解するのが相当である。
なお,借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから相当でない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・裁判所時報1476号2
頁参照)。

5 これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,本件基本契約は過払金充当合意を含むものであり,本件において前記特段の事情があったことはうかがわれないから,本件取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は本件取引が終了した時点から進行するというべきである。そして,前記事実関係によれば,本件取引は平成18年10月3日まで行われていたというのであるから,上記消滅時効の期間が経過する前に本件訴えが提起されたことは明らかであり,上記消滅時効は完成していない。これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は上記の趣旨をいうものとして理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。以上説示したところによれば,上告人の請求は理由があるから,原判決を主文のとおり変更することとする。
よって,裁判官田原睦夫の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

裁判官田原睦夫の反対意見は,次のとおりである。
私は,多数意見と異なり,過払金返還請求権の消滅時効は,その発生時から進行すると解すべきものであると考える。したがって,それと同旨の見解に立って,平成9年1月10日以前の弁済により発生した過払金返還請求権については,発生から10年の経過により消滅時効が完成したとして,その部分について上告人の請求を棄却した原判決に違法な点はなく,本件上告は,棄却されるべきである。以下,その理由を敷衍する。

1 金銭消費貸借において,借主が利息制限法所定の利率を超える利息を支払った場合には,その過払金発生の都度,不当利得返還請求権が発生し,借主は,その発生と同時にその請求権を行使することができる。そのことは,金銭消費貸借にかかる基本契約において,過払金が発生した場合には,これをその後の新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであっても同様であり,かかる合意の存在は,過払金返還請求権の行使において,法律上又は事実上何らの支障を生じさせるものではない。

2 多数意見は,「一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。」とするが,明示の特約が定められていないにもかかわらず,過払金充当合意に上記のような過払金返還請求権の行使時期に関する合意まで含まれていると解することは,契約の合理的な意思解釈の限度を超えるものであり,契約当事者が契約締結時に通常予測していたであろう内容と全く異なる内容の合意の存在を認定するものであって,許されないものというべきである。また,過払金返還請求権は,法律上当然に発生する不当利得返還請求権であるところ,その精算に関する充当合意についてはともかく,その請求権の行使時期に関して予め合意することは,その債権の性質上,通常考えられないところである。

3 多数意見はまた,「借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから相当でない。」とする。しかし,過払金返還請求権を行使すれば,貸主は,事実上新たな貸付けに応じなくなる蓋然性は高く,その結果,借主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることになると見込まれるが,そうであるからといって,借主に,行使することのできる過去の過払金返還請求権を留保させながら,なお継続的な金銭消費貸借契約に基づき新たな借入れをなすことができる地位を保持させることが,法的に保護するに値する利益であるとは考えられない。
多数意見のように,取引終了時から時効が進行すると解すると,その取引開始時が数十年前であり,不当利得返還請求権の発生がその頃に遡るものであっても,その後取引が継続されている限り,取引終了時から過払金発生時に遡って不当利得返還請求権を行使することができることとなり,現に本件においては,訴提起時から27年余も以前の過払金の請求が認められることとなる。しかし,かかる事態は,商業帳簿の保存期間が10年であること(商法19条3項),時効制度が,長期間の権利の不行使にかかわらず,その行使を認めることが,かえって法的安定を害しかねないことをもその立法理由とする制度であること等,期間に関する他の諸制度と矛盾する結果を招来することとなり,当事者に予測外の結果をもたらすことになりかねない。
また,多数意見のとおり,不当利得返還請求権の時効期間の始期が取引終了時になると解することになると,従来から金銭消費貸借にリボルビング方式を採用していた貸主は,その契約の始期が相当以前に遡るものについては,借主が新規の借入れをなした後に過去に遡って不当利得返還請求権を行使した場合には,新規の貸付金が10年以上前に生じたものを含む過払金と相殺充当されるほか,更に別途不当利得返還請求に応じなければならないこととなる可能性が存する以上,新規の融資に応じないこととなると見込まれるのであって,多数意見の解釈は,基本契約に基づいて長期間に亘って継続して融資を受けてきた借主が更に継続して融資を受けることを希望する場合の借主の利益に適うものとは必ずしも言えないのである。多数意見の解釈によって利益を得るのは,既に基本取引契約を終了したうえで,不当利得返還請求権を現に行使し,あるいは行使しようとしている一部の借主に限られるのであって,かかる借主の保護のために,契約の意思解釈の枠組みを著しく拡大することは妥当とは言えない。
なお,多数意見は,上記の論理を展開したうえで,最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決及び最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決を参照判決として引用する。
しかし,上記各引用判決は,いわゆる自動継続特約付の定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効の起算点に関する判例であるが,自動継続定期預金契約における自動継続特約は,預金者から満期日における払戻請求がなされない限り当事者の何らの行為を要せずに満期日において払い戻すべき元金又は元利金について,前回と同一の預入期間の定期預金契約として継続させる内容であることが預金契約上明示されているのであって,本件の如き不当利得返還請求権の消滅時効期間の始期に関する契約の意思解釈に関する先例としては,適切を欠くものというべきである。
(裁判長裁判官那須弘平 裁判官藤田宙靖 裁判官堀籠幸男 裁判官田原睦夫 裁判官近藤崇晴)

 

 

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最高裁平成3年11月19日第三小法廷・ 民集第45巻8号1209頁

2016-12-28

主    文

一 原判決中、予備的請求に関する上告人の敗訴部分を破棄し、右部分に関する第一審判決を取り消す。
二 被上告人は上告人に対して、一〇〇〇万円及びこれに対する昭和五九年五月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 上告人のその余の上告を棄却する。
四 訴訟の総費用は、被上告人の負担とする。

理    由

一 上告代理人佐治良三の上告理由第一点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

二 同第二点について

1 原審は、(一) 被上告人は、上告人との間で普通預金契約を締結していたが、昭和五九年二月二一日、被裏書人として所持していた額面一七〇〇万円の本件約束手形に取立委任裏書をしてこれを上告人に交付し、その取立てを委任するとともに、本件約束手形が支払われたときは、その金額相当額を被上告人の右普通預金の口座に寄託する旨を約した、(二) 本件約束手形は不渡りとなったが、上告人は、確認手続における過誤により、本件約束手形が決済されて右普通預金口座に本件約束手形金相当額の入金があったものと誤解し、被上告人の普通預金払戻請求に応じて、同月二七日午後一時五〇分ころ一七〇〇万円を支払った、(三) 上告人は、同日午後二時五〇分ころ右過誤に気付き、同日午後四時三〇分ころ被上告人に対し、右事実を告げて払戻金の返還を請求した、(四) 本件約束手形に順次裏書をした訴外D、同Eらと被上告人とは、当時、経済的に密接な一体の関係にあった、(五) Dが営んでいた事業は同年一〇月ころ倒産し、そのころ同人は所在不明となった、との事 実を適法に確定した。

2 原審は、右事実関係の下において、(一) 上告人の被上告人に対する払戻しは法律上の原因を欠くものであり、被上告人は上告人の損失によって利益を得た、(二) 被上告人は、本件払戻しを受けた時においては、これが法律上の原因を欠くことを知らなかった、(三) 被上告人はDから本件約束手形の取立てを依頼されてその裏書を受けたものであって本件払戻金は被上告人が受領後直ちにDに交付した、との被上告人の主張事実は、これを認めることができず、仮に右払戻金が受領後直ちにDに交付されたとしても、金銭の利得による利益は現存することが推定されるのであって、経済的に密接な一体者間の内部的授受によっては、いまだ授与者の価値支配は失われないとみるべきであるから、Dへの金銭交付をもって利益が現存しないものということはできない、(四) 右によれば、利益が現存しないとの被上告人の主張事実は認められないから被上告人に対して払戻しを受けたと同額の一七〇〇万円の返還を命ずべきところ、現存利益の範囲は不当利得制度における公平の理
念に照らして物理的な利益のほか、当該不当利得関係発生の態様、受益の不当性及び原因欠缺に対する注意義務の懈怠等について、利得者及び損失者双方の関与の大小・責任の度合い等の事情をかれこれ勘案考量し、具体的公平を図るべきものであり、これを本件についてみるのに、本件紛争の端緒は本件手形の決済の確認に際して上告人が誤って処理済みであるとしたことにあり、これは大手都市銀行としてはまことに杜撰な措置であったというべきものであるから、本件払戻し前後の経緯においては被上告人側に多分に不審又は不誠実な言動が見られるものの、これらの事情をかれこれ比較考量すると、被上告人が上告人に返還すべき現存利益は、前記一七〇〇万円の約四割に当たる七〇〇万円と認定するのが相当であり、これを超える一〇〇〇万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める上告人の請求は失当である、と判断した。

3 しかし、原審の右判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
すなわち、前記事実関係によれば、本件約束手形は不渡りとなりその取立金相当額の普通預金口座への寄託はなかったのであるから、右取立金に相当する金額の払戻しを受けたことにより、被上告人は上告人の損失において法律上の原因なしに同額の利得をしたものである。そして、金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべきところ、本件においては、被上告人が利得した本件払戻金をDに交付したとの事実は認めることができず、他に被上告人が利得した利益を喪失した旨の事実の主張はないのである。そうすると、右利益は被上告人に現に帰属していることになるのであるから、原審の認定した諸事情を考慮しても、被上告人が現に保持する利益の返還義務を軽減する理由はないと解すべきである。
なお、原審が仮定的に判断するように、被上告人が本件払戻金を直ちにDに交付し、当該金銭を喪失したとの被上告人の主張事実が真実である場合においても、このことによって被上告人が利得した利益の全部又は一部を失ったということはできない。すなわち、善意で不当利得をした者の返還義務の範囲が利益の存する限度に減縮されるのは、利得に法律上の原因があると信じて利益を失った者に不当利得がなかった場合以上の不利益を与えるべきでないとする趣旨に出たものであるから利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならないと解すべきところ、本件においては、被上告人は本件払戻しの約三時間後に上告人から払戻金の返還請求を受け右払戻しに法律上の原因がないことを認識したのであるから、この時点での利益の存否を検討すべきこととなる。ところで、被上告人の主張によれば、Dに対する本件払戻金の交付は本件約束手形の取立委任を原因とするものであったというのであるから、本件約束手形の不渡りという事実によって、被上告人はDに対して交付金相当額の不当利得返還請求債権を取得し、被上告人は右債権の価値に相当する利益を有していることになる。そして、債権の価値は債務者の資力等に左右されるものであるが、特段の事情のない限り、その額面金額に相当する価値を有するものと推定すべきところ本件においては、Dに対する本件払戻金の交付の時に右特段の事情があったとの事実、さらに、被上告人が本件払戻しに法律上の原因がないことを認識するまでの約三時間の間にDが受領した金銭を喪失し、又は右金銭返還債務を履行するに足る資力を失った等の事実の主張はない。したがって、被上告人は本件利得に法律上の原因がないことを知った時になお本件払戻金と同額の利益を有していたというべきである。
そうすると、前記事実関係の下において、被上告人の利得した一七〇〇万円のうち一〇〇〇万円について、同金額及びこれに対する遅延損害金の支払請求を棄却した原審の判断には、民法七〇三条の解釈適用を誤った違法があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。したがって、論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、原判決中上告人の敗訴部分は破棄を免れない。そして、前記説示に照らせば、右部分の請求を棄却した第一審判決を取り消し、一〇〇〇万円及びこれに対する履行の請求を受けた日の後である昭和五九年五月一二日から支払済みまでの年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分についても上告人の請求を認容すべきものである。

三 よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、八九条 に従い裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官    佐   藤   庄 市 郎
裁判官    坂   上   壽   夫
裁判官    貞   家   克   己
裁判官    園   部   逸   夫
裁判官    可   部   恒   雄

 

 

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最高裁昭和43年3月15日第二小法廷判決・民集第22巻3号587頁

2016-12-26

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理    由
上告代理人信正義雄の上告理由について。

一般に、不法行為による損害賠償の示談において、被害者が一定額の支払をうけることで満足し、その余の賠償請求権を放棄したときは、被害者は、示談当時にそれ以上の損害が存在したとしても、あるいは、それ以上の損害が事後に生じたとしても、示談額を上廻る損害については、事後に請求しえない趣旨と解するのが相当である。
しかし、本件において原判決の確定した事実によれば、被害者Dは昭和三二年四月一六日左前腕骨複雑骨折の傷害をうけ、事故直後における医師の診断は全治一五週間の見込みであつたので、D自身も、右傷は比較的軽微なものであり、治療費等は自動車損害賠償保険金で賄えると考えていたので、事故後一〇日を出でず、まだ入院中の同月二五日に、Dと上告会社間において、上告会社が自動車損害賠償保険金(一〇万円)をDに支払い、Dは今後本件事故による治療費その他慰藉料等の一切の要求を申し立てない旨の示談契約が成立し、Dは右一〇万円を受領したところ、事故後一か月以上経つてから右傷は予期に反する重傷であることが判明し、Dは再手術を余儀なくされ、手術後も左前腕関節の用を廃する程度の機能障害が残り、よつて七七万余円の損害を受けたというのである。
このように、全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。これと結局同趣旨に帰する原判決の本件示談契約の解釈は相当であつて、これに所論の違法は認められない。
論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官    奥   野   健   一
裁判官    草   鹿   浅 之 介
裁判官    城   戸   芳   彦
裁判官    石   田   和   外
裁判官    色   川   幸 太 郎

 

 

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最高裁昭和55年1月24日第一小法廷判決・民集第34巻1号61頁

2016-12-24

主    文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理    由

上告代理人鈴木光春、同井口寛二の上告理由一ないし三について

債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に金銭消費貸借上の利息・損害金の支払いを継続し、その制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となつたとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものにほかならず、債務者において不当利得としてその返還を請求しうるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和四一年(オ)第一二八一号同四三年一一月一三日大法廷判決・民集二二巻一二号二五二六頁)、また、債務者が利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金を元本とともに任意に支払つた場合においても、その支払にあたり充当に関して特段の意思表示がないかぎり、右制限に従つた元利合計額をこえる支払額は、債務者において不当利得としてその返還を請求することができるものと解すべきことも、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和四四年(オ)第二八〇号同年一一月二五日第三小法廷判決・民集二三巻一一号二一三七頁)。原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、被上告人の不当利得返還請求権の発生を認めた原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、ひつきよう独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

同四、五、七、八について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づき若しくは原審において主張しなかつた事項について原判決を論難するものにすぎず、いずれも採用することができない。

同六について

商法五二二条の適用又は類推適用されるべき債権は商行為に属する法律行為から生じたもの又はこれに準ずるものでなければならないところ、利息制限法所定の制限をこえて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権は、法律の規定によつて発生する債権であり、しかも、商事取引関係の迅速な解決のため短期消滅時効を定めた立法趣旨からみて、商行為によつて生じた債権に準ずるものと解することもできないから、その消滅時効の期間は民事上の一般債権として民法一六七条一項により一〇年と解するのが相当である。
これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官団藤重光、同中村治朗 の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判官団藤重光の反対意見は、次のとおりである。
わたくしは、中村裁判官の反対意見に同調する。

裁判官中村治朗の反対意見は、次のとおりである。
私は、上告理由六につき多数意見と見解を異にし、論旨を採用して原判決を破棄すべきものと考える。その理由は、次のとおりである。
商法五二二条本文の時効期間の規定が、商事取引関係の迅速な解決を図るため、商行為によつて生じた債権につき一般民事債権の場合に比し短期の消滅時効期間を定めたものであること、及び商行為に属する法律行為から直接生じた債権でなくても、なお右規定の趣旨にかんがみてこれに準ずべき債権とみられるものについては、同条の適用又は類推適用により商事債権として右短期の消滅時効期間に服するものと解すべきことについては、私も多数意見と全く見解を一にするものであり、多数意見と私見との違いは、多数意見が本件不当利得返還請求権は右の「準ずべき債権」にあたらないとするのに対し、私見はこれにあたると解する点にある。
本件不当利得返還請求権は、被上告人が上告人から借り受けた金員につき上告人に対して支払つた約定利息金及び元金のうち、利息制限法の適用上過払となる金額について、上告人が法律上の原因なくして利得したものとしてその返還を請求するというものである。そして上告人の主張によれば、被上告人は商人で、前記消費貸借契約は被上告人がその営業のために行つたものであり、同契約は附属的商行為にあたるというのであるから、問題は、商行為に属する契約の全部又は一部が無効であるため、右契約上の義務の履行としてされた給付による利得につき生ずる不当利得返還請求権を、時効期間の関係で、商行為によつて生じた債権に準ずべき債権と解すべきかどうかに帰着すると考えてよいと思われる(もつとも、利息制限法に違反する約定が反公序良俗性ないし強い違法性をもち、これに基づいてされた給付による利得の保持自体がこのような評価を受けるものであれば、また別の考慮を必要とするであろうが、利息制限法上過払となる金員の支払は、単に契約が一部無効であるため債務がないのにあるものとしてその履行がされたというにすぎないものと考えられるので、上記のように一般化して事を論ずれば足りると思う。)。
ところで、商事契約の解除による原状回復義務が商法五二二条の商事債務たる性質を有することは、当裁判所の判例とするところであるが(最高裁昭和三三年(オ)第五九九号同三五年一一月一日第三小法廷判決・民集一四巻一三号二七八一頁)、その趣旨は、契約解除による原状回復は、契約によつて生じた法律関係を清算するものとしていわばこれと裏腹をなすものであり、商事契約に基づく法律関係の早期結了の要請は、その解除に伴う既発生事態の清算関係についてもひとしく妥当するから、解除による原状回復義務についても、契約そのものに基づく本来の債務と同様商事債務としての消滅時効期間に服せしめるべきであるとするにあると考えられる。ところで、一般に、契約解除による原状回復は、契約上の義務の履行としてされた財貨の移動につき、その後契約の解除によつてそれが法律上の原因を欠くこととなつたため、これによる利得を相互に返還せしめて契約の履行前の状態に復せしめようとするものであり、法律上の原因によらない利得の返還という点においては、右の原状回復義務は、本質的には不当利得返還義務にほかならないということができるのである。他方、不当利得返還の場合の中でも、契約上の義務の履行としてされた給付が右契約の無効等の理由により法律上の原因を欠くこととなり、その給付による利得につき不当利得返還義務が生ずるような場合は、契約の履行によつて生じた関係を清算するものである点において契約解除による原状回復の場合と全く選ぶところがない。そうすると、このような場合の不当利得の返還は、契約解除による原状回復と同じく、契約によつて生じた法律関係を清算するものとしてこれと裏腹をなし、右契約が商事契約である場合には、右の清算関係についても早期結了の要請がひとしく妥当するものということができるのであり、一が契約解除という法律行為を媒介として生ずる法律関係であり、他が法律行為を媒介としないで法律の規定から直接に生ずるそれであるということは、右の両者を異別に取り扱う合理的理由となるものではないというほかはないように思われる。私は、以上のような理由から、商事契約の無効等の理由によつて右契約に基づいてされた給付による利得につき不当利得返還請求権が生ずる場合には、右債権は、商事債権ないしはこれに準ずるものとして、商法五二二条所定の消滅時効期間に服すべきものと解するのが相当であると考えるものであり、これと異なる多数意見には賛同することができない。そして、原判決は、本件不当利得返還請求権につき、本件消費貸借が商行為であると否とに関係なく、一般民事債権としてその消滅時効期間を一〇年とし、上告人の時効の抗弁を排斥したものであるから、右は法令の解釈適用を誤つたものといわざるをえず、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点に関する論旨は理由があるものとして原判決を破棄し、更に審理を尽させるため、本件を原審に差し戻す旨の裁判をすべきものと考える。

最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官    団   藤   重   光
裁判官    藤   崎   萬   里
裁判官    本   山       亭
裁判官    戸   田       弘
裁判官    中   村   治   朗

 

 

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